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バルザック『ゴリオ爺さん』がクソ面白かったので作品紹介

バルザックの『ゴリオ爺さん』の紹介記事です。今までバルザック読んだことなかったのですが、読んでみたら滅茶苦茶面白かったので記事にしました。

  • バルザックって誰よ
  • 『ゴリオ爺さん』あらすじ

バルザックって誰よ

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写真だけ見るとジャイアン感満載です。バルザックは19世紀フランスを代表する作家です。バルザックが描いたのはきらびやかなパリの人々の生活とその中に潜む人間の苦悩であり、それらが複雑に絡みあう喜劇であり、悲劇です。当時のパリ社交界の、その輝かしさを切り取ったかのような優雅な文体で人間のあり方を描きます。

バルザック作品の特徴はある作品に出てきた登場人物が他の作品にも出てくることです。『ゴリオ爺さん』に出てきた登場人物のその後は他の作品で語られたりします。

ついついバルザック作品をコンプリートしたくなりますね。

『ゴリオ爺さん』あらすじ

 

ゴリオ爺さん (新潮文庫)

ゴリオ爺さん (新潮文庫)

 

 

本作の主人公はゴリオ爺さんではなく、同じアパートに住む美貌の青年ラスティニャックです。ラスティニャックは南フランスの田舎からパリにやって来た法学部生です。ラスティニャックは、田舎の青年ならではの純粋さと並々ならぬ出世欲を持ち合わせた青年です。機会を伺ってはパリの社交界へと進出しようとします。

一方、ゴリオ爺さんは同じアパートの中でも一風変わった人物として描かれます。もともとは大金持ちの商人でした。しかし、徐々に資産がなくなっていき、家賃が安い部屋へと移っていきます。アパートの住人の中では、なぜゴリオ爺さんが貧乏になったのかいろいろな憶測が飛びます。

ラスティニャックは親戚のつてを頼りに社交界へと顔を出し始めます。そこで目にしたのはあのゴリオ爺さんでした。ゴリオ爺さんはパリの社交界にときめく二人の夫人の父親だったのです。

ゴリオ爺さんは娘たちに良い夫を見つけるため、良い暮らしをさせるためにありとあらゆる財産を注ぎ込んでいたのです。それを知ったラスティニャックはゴリオ爺さんをつてにして、ゴリオ爺さんの娘であるニュシンゲン夫人に近づきます。そしてニュシンゲン夫人もまたラスティニャックに惹かれていくのでした。

そんなラスティニャックの前に現れるのが、謎の男・ヴォートランです。このヴォートランという男はとにかく悪魔的な魅力を放っています。彼はパリ社交界に対するアンチテーゼであり、批判精神の象徴です。ラスティニャックはヴォートランから悪魔の取引を迫れるます。

ラスティニャックはパリとヴォートラン、そして良心の間で揺れ動きます。ラスティニャックは一体どのような決断をするのか。そしてなぜ、タイトルが「ゴリオ爺さん」なのか。

もう、バルザックの文体だけでもクソみたに素晴らしいので読んだ見てください。

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あいちトリエンナーレが賛否両論な理由を考えてみた

津田大介氏を芸術監督として迎えたあいちトリエンナーレ2019。それが燃えているらしいので、なんでそんなことになったのか考えてみた。

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  • なにが物議を呼んだのか
  • なぜ批判を呼んだか
  • この騒動の本質について考える

なにが物議を呼んだのか

あいちトリエンナーレとは3年に一度開催される国際芸術祭である。そこでどんな作家のどんな作品を展示するのかの決定権を持っているのが、芸術監督である。

まず今回、話題になったのは、監督が津田大介氏であるということだ。津田大介氏といえば、主にweb媒体で活躍するジャーナリストであることは有名である。だが、芸術とはかなり遠い位置にいるようにも見える。

実際、数年前(東日本大震災)までは、ほとんど興味がなかったようである。もちろん、主催者側はそんなことは百も承知で、あえて美術界隈から少し離れた人物を招聘しているのだろう。

監督として津田氏が就任したのも話題になったのだが、1番の話題は展示する作家のジェンダー平等を実現したということだ。

 津田氏のツイートにあるように、日本の美術分野はジェンダー格差が非常に大きい。もちろん、これは美術業界だけではないのだが。そんな状況のなか、男女の作家数をほぼ同数にしたのである。

なぜ批判を呼んだか

男女の作家数が同じになったことの一体何がいけないのか、と訝しい人もいるだろう。津田氏のツイートに対するリプライを観察していると主に以下のような批判的意見が多く見受けられた。

  • アートに思想を持ち込むな。
  • 性別に関係なく作品の質を評価すべきだ
  • 男女平等にしたらアートの質が落ちる

まず、1番上の「アートに思想を持ち込むな」と言う人はおそらく現代アートに興味のない人の意見である。現代アートは政治や思想とは切っても切れない関係だし、そもそもキュレーターや監督はアート展示に方向性や思想、メッセージ性を込めるのが仕事である。これでは、津田氏に仕事をサボれといっているようなものである。

下2つの意見はだいたい同じである。彼らは男女の性別に関わりなく良い作品を展示すべきであると主張しているのだ。わからなくもない意見である。

しかし、今回のあいちトリエンナーレ2019に関してそのような批判をするのであれば的外れなのである。なぜなら、あいちトリエンナーレは芸術祭であってコンテストではないからだ。良い作品だから、素晴らしい作家だからというだけで選ばれるわけではない。選ばれる作品は芸術監督である津田氏の決めたテーマや方向性に合致したもののみである。

そして、その津田氏がジェンダーレスという方向性を打ち出すのであれば、それにそった選考が行われるのは至極当然のことなのだ。さらにいえば、アートにおいて作品の優劣を決めるというのは本質的に不可能である。それは、美術史を紐解けばすぐにわかることだろう。

もし批判をするのであれば、「ジェンダー平等なんて、使い古された表現であって全く新鮮さもなく、面白みもない」等の批判が起こるべきである。ところが、今回は、新しく革新的であるからこそ、こんなにも話題になっているのである。

ちなみに津田氏は今回はテーマに合った作家を選んだだけで、男女比はそこまで気にしていないという趣旨のツイートをしている。

この騒動の本質について考える

僕はこの騒動をツイートで観察して1つの疑問が湧いた。もし、作家の男女比を同じにしたというのではなく、女性作家のみを集めたという展示を企画した場合にも同じような批判が沸き起こっただろうかという点である。

おそらく、美術に限らずそのような展示は過去にいくらでもあったのではないかと思う。しかし、そのディレクションに批判が集中したかといえば、そうでないだろう。少なくとも僕は知らない。全部女性または男性にすると批判はないが、同数にすると批判があるという面白い現象が起こっているのだ。

そこになにかしらのジェンダー問題の本質が垣間みれるような気がするのは僕だけだろうか。アートとは、観る者に小石を投げ込んでくるようなものである。その小石は、僕たちの心の底にある池に音を立てて落ちて行き、あとには水の波紋と僅かな石の重みが残るのである。だとすれば、津田氏のキュレーションは少なくとも僕にとっては、成功したと言えるだろう。

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pg_restoreでpg_catalogの権限がないと怒られた

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pg_restoreでpg_catalogの権限がねえよとエラーが出てハマったので、原因と解決方法を記事にしました。

やりたかったこと

既存DBのダンプファイルから新規DBにあるスキーマだけをリストアしたい。

状況

既存DBのダンプファイルを以下のコマンドでリストしました。

#pg_restore -U postgres -n [schema] -d [databese] -f [file]

これは、ダンプファイルの[schema]だけリストアしたいときに使うコマンドです。

その際に以下のようなエラーが出ました。

スキーマ pg_catalog への権限がありません

解決策

新規DBにリストアしたいスキーマを予め作成したらうまくいった。

原因

リストアする際に発行するSQLを見ると以下のようになっていました。

SET search_path = ([schema],pg_catalog)

リストアするスキーマとpg_catalogにsearch_pathが設定されていました。予めリストアするスキーマを作成していなかったので、pg_catalogにsearch_pathが設定されてしまいます。

そのため、pg_catalogスキーマにリストアを実行しようとしてしまうため、権限エラーとなります。

スキーマをリストアする際は必ずリストア先のDBにスキーマを作成しておくのを忘れないようにしようと心に誓いました。

【書評】森見登美彦『熱帯』|『熱帯』の隠されたトリックとは

本記事は森見登美彦の『熱帯』の書評および解説です。『熱帯』読んだけど、複雑過ぎてようわからんくなった人向けの記事です。複雑な入れ子構造、森見登美彦の狙いをわかりやすく解説したいと思います。

未読の方は紹介記事を書いていますので、こちらを読んでください。

www.koto-yumin.com

  • 『熱帯』について
  • 『熱帯』の概要
    • 複数の『熱帯』
      • 0.現実の世界
      • 1.沈黙読書会(熱帯0)
      • 2.学団の男(白石さんの物語)
      • 3.満月の魔女(池内さんの物語)
      • 4.不可視の群島(僕の物語)
      • 5.『熱帯』の誕生(僕の物語)
      • 6.後記
  • 物語のセカイ
  • 森見登美彦のトリック

『熱帯』について

本作は「物語の物語」です。物語から物語へと複雑な入れ子構造をもつ作品です。故に途中でわけワカメになったという人も多いのではないでしょうか。実はそれこそが作者の狙いだったのです...!

前半は森見登美彦らしくユーモアが炸裂します。後半はどこか、村上春樹の『ハードボイルドワンダーランド』を思い出させる展開となっています。

『熱帯』の概要

まず、この小説の構造をわかりやすくまとめて見たいと思います。

複数の『熱帯』

『熱帯』はこの小説の題名であると同時に小説内での幻の小説の題名でもあります。間違わないように以下では次のように番号をつけます。

『熱帯0』:現実の世界で僕たちが購入した森見登美彦の小説『熱帯』
『熱帯1』:『熱帯0』の中で、幻の小説とされる佐山尚一が書いた『熱帯』

このあと、物語の内容をまとめながら熱帯のあとの数字増えていきますので、ご注意を!

0.現実の世界

この世界で僕たちは森見登美彦が書いた小説『熱帯0』を買いました。ちなみに僕はKindleで買いました。

1.沈黙読書会(熱帯0)

森見登美彦はかつて読んだ『熱帯1』について思い出す場面から『熱帯0』は始まります。そして、沈黙読書会で白石さんが持つ『熱帯1』を見つることになります。そこから白石さんは語り始めます。

2.学団の男(白石さんの物語)

この章では白石さんが語っている内容です。白石さんは、お店によく来る常連客の池内さんと出会います。白石さんはかつて自分が幻の小説『熱帯』読んだことがあることを知ります。ここで、白石さんの話の中で出てくる『熱帯』を『熱帯2』と呼びましょう。白石さんは池内さんとともに『熱帯2』の謎を探っていきます。

3.満月の魔女(池内さんの物語)

ここで、話は白石さんの物語の中の池内さんのノートの内容になります。池内さんは千夜さんを追って京都へと行きます。池内さんは京都でマキさんに出会い、千夜さんが姿を消したという図書室に入って行くのでした。

4.不可視の群島(僕の物語)

ここで、話の語り手が誰だかわからなくなります。一人称が「私」ではなく、「僕」に変わっていることに注意しましょう。物語は1章で森見登美彦が語った『熱帯1』の内容と同じ出だしで始まります。「僕」は記憶を失い、佐山尚一と出会います。そして様々な不思議な経験をします。

5.『熱帯』の誕生(僕の物語)

「僕」は最初に行き着いた観測所で手記を書き始めます。この島で体験したことを書いていきます。最後に「僕」は自分の名前が「佐山尚一」であることを思い出します。この手記を『熱帯3』としましょう。

6.後記

佐山尚一は不思議な世界を抜け出し、現実の世界へと戻ってきます。しかし、そこは佐山尚一がもといた世界とは違う世界なのでした。不思議な体験から20年たったある日、佐山尚一は沈黙読書会にでかけます。そこで、白石さんが持つ、森見登美彦が書いた『熱帯』(『熱帯4』とする)を見つけます。そして白石さんは語り始めるのです。

物語のセカイ

この物語には大きく分けて3つのセカイがあります。1つは1~3章のセカイ(セカイ1)です。この中で沈黙読書会で森見登美彦と出会った白石さんは同じ『熱帯』の話をしています。故に『熱帯1』=『熱帯2』と見てよいでしょう。

4、5章のセカイでは、森見登美彦や白石さんが語った『熱帯』と同じ内容が描かれます。4,5章は『熱帯1』、『熱帯2』の中のセカイ(セカイ2)と考えられます。つまり、佐山尚一が書いた手記(『熱帯3』)の内容が『熱帯1』や『熱帯2』であり、幻の小説と言われていた『熱帯』です。

6章では佐山尚一は4,5章のセカイ2を抜け出し、もといたセカイとは違うセカイ(=セカイ3)へと出てきます。

ここで佐山尚一がもともといたセカイとはどこか考えてみましょう。そのセカイでは佐山尚一が消失しているセカイであるはずです。そのセカイとはセカイ1です。セカイ1で佐山尚一は行方不明になっています。

まとめると、佐山尚一は最初にセカイ1にいました。その後、4,5章のセカイ2に迷い込みます。そして6章でセカイ3へと出てきます。

森見登美彦のトリック

ところで、セカイ3とは一体どこでしょうか。セカイ3は森見登美彦が『熱帯』を 書いたセカイです。森見登美彦が『熱帯』を書いたセカイとは、僕たちが『熱帯0』を買ったセカイではないでしょうか。佐山尚一が出てきたセカイは『熱帯0』の中ではありません。僕たちが生きる現実のセカイです。

小説を読み終わったあと、「この小説はいったいどういう出だしだったかな」と感じた人が多いと思います。そして思わず、最初のページを確認しませんでしたか?僕は思わず、最初ページに戻ってしまいました。そして、「ああ、森見先生が最初に出てきてたんだ」と。

本作は「最初のページに戻ることによって」物語が完結します。なぜなら、最後のページに白石さんが持っている『熱帯4』は、白石さんが語りはじめる物語は、森見登美彦が書いた現実のセカイの『熱帯0』だからです。これが森見登美彦が仕掛けたトリックです。

僕たちは小説を読んでいたはずです。ところが、いつの間にか登場人物は小説を超え、僕たちのセカイへとやってきます。僕たち読者は小説を読んでいる間だけ、現実の世界を離れ、物語の世界へ入り込むことができます。でももし、小説の最後のページを読み終わっても終わらない物語、そこから始まる物語があるとしたら、僕たちはこの後、自ら物語を作ることができるのではないか。「創造の魔術」を使えるのではないか。

僕は立ち上がって海の彼方に目をやる。すべてを失ってこの熱帯の海へやってきたとき、どれほど僕は不安に思ったことだろう。僕は何者でもなく、この海は見渡すかぎり何もない世界だった。しかしこの熱帯の海からこそ、〈創造の魔術〉は始まる。僕は虎に向かって次のように告げる。「それでは君を『熱帯』と名づける」

森見 登美彦『熱帯』

 

『熱帯』を読み終わったあと、真っ先に思い出したのは円城塔の『Self-Reference Engine』です。円城塔も同様に「物語についての物語」を書いています。しかし、その結末はかなり違います。円城塔は物語を終わらせ、森見登美彦は物語を終わらせないことを選んだのです。

 

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森見登美彦のおすすめ作品|『熱帯』のあらすじを紹介

森見登美彦の『熱帯』を紹介します。森見登美彦といえば、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』等でくされ大学生を描くことに定評のある作家です。最近では『ペンギン・ハイウェイ』が映画化され話題になりました。今回は、そんな森見登美彦の最新作『熱帯』のあらすじを紹介します。読もうかどうか迷っている人は是非参考にしてみてください。

熱帯

  • おすすめ度
  •  あらすじ紹介

おすすめ度

おすすめ度:4.0(5点満点)

僕は学生時代から森見作品のファンでして、文庫化されている小説はほとんど読んでいると思います。今作『熱帯』は森見ワールドは若干控えめでありつつ、森見登美彦の新たな方向性を感じました。森見ファンにとってはとても新鮮な内容だったのではないでしょうか。

一方、初めて森見作品を読む人にはあまりおすすめはできないように思います。面白いのは確かですが、とにかく長いですし、メタ小説となっているので慣れていないと混乱してしまうでしょう。もちろんそういうのが好物な人(僕)みたいな人にはオススメの作品です。僕はもう最初から興奮しっぱなしでした。

森見作品がはじめての方であれば、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』あたりを先に読むことをおすすめします。森見作品を読んだことがあり、割と気に入っているのであれば、読んで見るべき作品だと思います。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

 あらすじ紹介

『熱帯』は摩訶不思議な森見先生の作品の中でも一つばかり頭が抜けて不思議な作品です。森見登美彦といえば、くされ大学生から化け狸、天狗からペンギン、そしておっぱいまで、ありとあらゆる魅惑的なものを題材として選んできました。

そんな彼が今回題材として選んだのが「物語」それ自体です。今回の主人公は『熱帯』という小説そのものであると言っても過言ではありません。その小説は誰も読み通した人いないと言われる幻の小説です。

本作の冒頭では作者である森見登美彦氏が登場し、幻の小説『熱帯』について語る場面から始まります。森見は学生時代に『熱帯』を手に入れたが、読んでいる途中で失くしてしまい読了できなかったと言います。それ以降、あらゆる方法で『熱帯』を探したが、ついに見つけることができなかったのです。

そんなあるとき森見登美彦は「沈黙読書会」という謎の同好会に参加することになります。同好会では、各メンバーが本にまつわる謎を持ち寄って話し合いが行われているのだと言います。森見は、ある女性が抱えてる本に気が付きます。そう、長年追い求めていた『熱帯』です。そして、女性は語り始めます。

『熱帯』がなぜ幻の小説となったのか。どうして誰も読み終えることができないのか。そしてどのようにして『熱帯』が誕生したのか。物語は現実と非現実を行き来しながらその謎に迫っていきます。

読み終わったあと、読者は必ず1ページ目から読み直すことになることでしょう。

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【英単語】受験英語|英単語を効率よく暗記する学習法

本記事では英単語を効率的に覚える方法について解説します。英単語は受験英語にとって基礎的にな項目です。単語を覚えずに受験英語を突破することは難しいでしょう。ですが、英単語の勉強はかなり苦痛ですよね。僕もだいぶ苦労しました。

本記事では脳科学の視点から、できるだけ効率的に英単語を覚える方法について紹介します。
本記事の対象者は以下の方です。

・大学受験生
・これから英語を勉強しようとしてる社会人

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  • 脳の働き
  • 使用頻度を多くする
  • 問題形式で覚える
  • 関連付け記憶
  • 音と一緒に覚える
  • 音読する
  • まとめ

脳の働き

記憶には主に2種類あります。短期記憶と長期記憶です。短期記憶とはその名の通り、短い間だけ保持される記憶のことです。例えば会ったばかりの人の名前を考えてみましょう。次の日には忘れていたりしますよね。一般的に、人は覚えて30分後には覚えた事柄を忘れてしまうと言われています。

逆に長期記憶は長期間の間保持される記憶です。長期記憶に保存された記憶は、短期記憶とは違い、かなり長い間忘れることがありません。例えば、自分の生年月日は、普段使っているわけではないですが、忘れないですよね。

何が言いたいかというと、英単語の学習で重要なことは、英単語を短期記憶から長期記憶へと移すことだということです。

ではどうすれば短期記憶から長期記憶へと英単語を移行することができるのでしょうか。そこで着目するのが、脳の海馬と呼ばれる場所です。海馬は記憶を短期記憶に保持するか長期記憶に入れるかどうか判断する役目を担っています。海馬は「これは重要だぞ」という記憶を長期記憶へと移行します。

つまり、英単語を効率よく覚えたければ、海馬さんに「これは重要だぞ」と思わせればいいんです。

使用頻度を多くする

海馬が重要だと判断する基準の1つに使用頻度というものがあります。海馬さんは何回も同じ情報が使われていると「これは重要な情報だ」と判断し、長期記憶へとその情報を保存します。例えば、よく使う自分の電話番号とかは勝手に覚えてしまいます。

故に英単語も1回でその単語を完璧に覚えようとしてはいけません。それでは、長期記憶には保存してくれません。1週間後には忘れてしまうでしょう。むしろ1回あたりの労力をすくなくして、何回も復習したほうが脳の機能的には長期記憶へと保持されやすいことがわかっています。

なので、英単語を勉強する場合、1日で10単語を完璧に覚えて1週間で70単語覚えると、最後の日には最初の単語は忘れしまいます。むしろ、1日で70単語を適当に覚えて毎日繰り返し復習するほうが効率的ということになります。

問題形式で覚える

英単語をただみて覚えるのはあまり効率的ではありません。見ているだけだと海馬はあまり重要だとは判断しないからです。そこでおすすめするのが、問題形式で覚えるということです。例えば、英単語の意味の部分を隠して、意味を当てるという感じです。

最初はわからなかったり、間違えたりすると思います。ここで重要なのは「なんだっけな?」と考えることです。それから答えをみると、海馬さんは「これだけ考えているんだから重要そうだな」と判断するわけです。故に英単語を覚えるときは見るだけでなく問題形式にしたほうがよいです。

関連付け記憶

関連付け記憶とは、あることがらを記憶するときに他のものと関連付けて一緒に記憶することです。例えば、「明智光秀が本能寺で織田信長を襲った」という歴史を覚えるときを考えてみましょう。そのときかの有名な台詞「敵は本能寺にあり」と関連付けて覚えると記憶に残りやすのです。

これは記憶へアクセスする経路を多くするということです。「明智光秀が本能寺で織田信長を襲った」という事実を直接思い出せなくても、「敵は本能寺にあり」という印象的な台詞を経由することで思い出すことができるというわけです。

英単語にも同じことが言えます。英単語単体で覚えるよりも文章として覚えたほうが覚えやすいです。例えば、createという単語を覚えるときは、単体として覚えるのではなく、God creates the world というように文章と一緒に覚えたほうが良いということです。 もちろんその文章はできるだけインパクトのあるものが良いです。

音と一緒に覚える

英単語は文字だけで覚えるのではなく、音声と一緒に覚えるのがおすすめです。先程解説したように海馬さんは何回も使用した単語を重要だと判断します。それは目からの情報に限りません。耳からも一緒に単語を聞かせることで、海馬さんはより重要だと判断します。

さらに関連付け記憶のところで、様々なものと関連付けた方がよいと言いました。英単語も音声と関連付けて覚えたほうが効率がよいです。

さらに音声を聴いて覚えることはリスニング対策にもなるのでやらない手はありません。どうせ覚えるなら正しい発音も覚えましょう。

音読する

最後は音読です。実は音読は言語習得に最も効率的な方法です。基本的に人間は声に出して読めない単語を覚えることはかなり難しいです。なにせ人間は文章を読むときでさえ、頭の中で音読しているからです。音読は長文読解力を向上するのも非常に効果的です。

また、音読の重要な点は口を動かすということです。実は人は何もしないよりも運動しているときのほうが記憶しやすいことが明らかになっています。なので、音読するときはよく口を動かして発音しましょう。(歩きながら覚えるのも効果があるみたいです)

音読は勝手に音声として耳からも学習できるので一石二鳥です。電車の中とかではできませんが、家でやるときはCDの正しい発音を真似て音読しましょう。

まとめ

本記事をまとめると以下のようになります。

  • 短期記憶→長期記憶が重要
  • 1回あたりの労力を少なくして、何回も復習する
  • 短い文章も一緒に覚える
  • 音声CDを利用して、音読をする
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英語勉強法|受験英語の戦略

受験英語の勉強法を解説します。勉強は量が大切ですが、しっかりと効率の良い方法で勉強することも大事です。本記事では効率的に受験英語の勉強法の概略について解説します。

本記事は以下の人を対象にしています。

・これから英語を勉強しようとしている高校生
・受験勉強中の高校生

僕は偏差値40台から1年の浪人期間へて、某旧帝大の理学部に合格しています。英語は最も得意な科目で、センター試験では190点以上とりました。今回は僕が実際に経験して効率が良いと感じた方法を紹介します。

  • 英語勉強のステップ
  • なぜ同時進行的に勉強するか
  • どのように勉強するか
    • 単語と文法
    • 長文読解
    • 英作文

英語勉強のステップ

さて英語の勉強は以下のように、5つのカテゴリーに分けることができます。

①単語
②文法
③長文読解
④リスニング
⑤英作文

では皆さんどのような順番で勉強していますか。僕は当初、①→⑤の順番で勉強していました。まあ、誰でも普通はそう考えますよね。実はこれが全くの間違いです。英語を効率よく勉強していくには順番通り勉強してはいけません。

①~⑤をまんべんなく、同時進行的に勉強する必要があります。特に後回しにしがちなのがリスニングです。受験英語ではリスニングの配点が少ないため他の項目に比べるとあまり勉強しない人が多い印象です。ですが後述する通り、実は英語学習において最も重要な項目はリスニングと言っても過言ではありません。

なぜ同時進行的に勉強するか

なぜ同時進行的に勉強する必要があるのでしょうか。これは言語を習得する過程を考えてみればわかります。子供が言語を学習するとき、単語や文法から習得するわけではないですよね。子供はまず耳から言語を学習します。単語を周囲から聞き取り、真似するように覚えていきます。実際、耳から学習するのが最も良い言語学習法です。

ただ、この方法は聞き取れるようになるまで、結構時間がかかりますし、時間のない受験生にはあまり現実的な方法ではありません。しかし、言語学習において耳から学習することは非常に重要なことです。文字だけで学習するよりも耳からも学習することで定着率が格段にあがります。リスニングの勉強はリスニング問題で点を取るというより、英語の学習を効率的に進めるために必要です。

どのように勉強するか

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では具体的にどのように勉強していけばよいでしょうか。イメージとしては①~⑤を何回も繰り返しながら学習していくことをおすすめします。螺旋階段のように①~⑤を繰り返しつつ、徐々にレベルアップさせながら学習して行きましょう。

単語と文法

先程、同時進行的に進める必要があると言いました。でもやはり、単語と文法を勉強しなければ③~⑤を勉強するのは難しいです。ゆえにまずは単語と文法を勉強しましょう。ここで、重要なのはまずは、最低限の単語と文法を学習するということです。最初から難しい単語や細かい文法を覚える必要はありません。必須単語100~200程度を覚えれば問題ないでしょう。単語学習では必ず音声CDつきの単語帳を使用しましょう。覚えるときは必ず耳から聞いて、自分の口で発音できるようにしてください。

長文読解

最低限の単語と文法を学習した後は、簡単な英文を読みましょう。ここではできるだけ簡単な長文読解の問題を選びましょう。学習した単語と文法で読解できるものを選んでください。そして重要なのは英文の音声CDつきの教材を選ぶことです。

長文読解の練習問題は解いた後が大切です。長文読解を解いたあとは、付属のCDで英文を聞きます。そこで、必ず音読・リスニングを行います。具体的な方法については別の記事で書こうと思いますが、長文を暗唱するくらい音読すると良いと思います。

英作文

ここまでで、英作文以外を学習することになります。実は人によっては英作文はそこまで力を入れる必要はないかもしれません。ただ英語で差がつくのは間違いなく英作文です。高校の授業では極端に英作文の授業が少ないからです。ある程度以上の大学を狙うのであれば、やっておいて損はないと思います。

長文読解で英語に慣れてきたら英作文の学習も取り入れていきましょう。ただし、いきなり英作文の練習をするのは難易度が高いです。英作文で重要なのは知っている文章や言い方を覚えることです。

そこで、僕がおすすめするのは、文法の学習と同時に英文を覚えてしまうことです。参考書等で短い基本的な英文が載っているものがあります。(詳しくは別記事で解説)それを音声CDを聞きながらひたすら暗唱してしまうのが良いです。ここでも、リスニング・音読の効果は絶大です。これは文法をしっかりと理解した上でやらないと苦痛です。文の意味をしっかりと学習したあとにやりましょう。

このようにリスニングと音読を行いつつ英語学習を進めていけば安定して高得点を取れるようになると思いますので、ぜひ試してみてください。

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【解説】村上春樹『鏡』

村上春樹の短編小説『鏡』を解説します。高校の教科書に載っているとのことで記事にしました。現代文の授業とは一味違った読み方を提示したいと思います。小説はいろいろな読み方があるのだなあと知ってもらえればと思います。

カンガルー日和 (講談社文庫)

  • 著者・作品紹介
  • 解説
  • 村上はなぜこの小説を書いたのか

著者・作品紹介

村上春樹はおそらく日本で最も有名な作家でしょう。そして、世界で最も知られた日本人作家です。彼の作品の特徴は難解なメタファーと独特のリズム感です。よく翻訳調だとか言われています。しかし、その読みやすい文体は純文学というジャンルを超えて多くの読者の支持を得ています。

本作『鏡』は『カンガルー日和』という短編集の中に収録されています。興味のある方はぜひそちらも買ってみてはいかがでしょうか。

解説

さて、この小説を読んだとき誰もが感じるのは「どうして鏡の中の僕は僕のことを憎んでいるのか?」ということでしょう。この小説を考えようと思うとそこから始めるのが非常に簡単で、わかりやすいですね。授業でもそのような感じで進められるのではないかと思います。

まあ、その答えはいろいろでして、自分で考えたりするのが楽しいと思います。正解なんてものはありませんので。今回はもっと別の切り口で考えてみたいと思います。

村上はなぜこの小説を書いたのか

この小説で主人公が語る話の構成を見ると、非常にお手本通りという感じがします。いわゆる起承転結です。そして、扉が空いたり閉まったりする音や風の描写なんて怪談話の典型です。稲川淳二が話しているみたいです。小説のプロットを勉強するには非常に良い教材です。

そこで一つ疑問が湧きます。村上はどうしてこんな小説を書いたのだろうという点です。もう少し踏み込むとなぜこの小説を書くに至ったのかということです。本作は村上にしてはあまりに典型的で、少し面白みにかけます。

面白いのは最後のオチくらいです。そこで僕は発想を逆転したいと思います。いやむしろ、最後のオチを書きたくてこの小説を構想したのではないか。村上は「主人公が鏡なしで髭を剃ることができるようになるためには、どのような過去が必要なのか」を後から考えたのではないか。

ある日、村上は鏡無しで髭を剃るハメになった。実際に剃ってみると、かなり難しいことがわかる。そこでこう考えたのではないか。「もし、鏡無しで髭を剃れる人がいたとしよう。その人は一体どういうわけでそのような特技を身につけるにいたったのか。なぜ鏡を使わずに髭を剃るようになったのか」と。

そんな夢想から、この小説は生まれたのではないではないか。いかにも村上らしい構想です。こんなふうに想像すると少しこの小説が面白く感じてこないでしょうか。

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