【作家紹介】清涼院流水

コズミック 世紀末探偵神話 (講談社ノベルス)

今回紹介するのは清涼院流水です。圧倒的おすすめの作家です。暇だからミステリー読みたいなあって人は参考にしてください。後悔はしないと思います。

清涼院流水とは

清涼院流水は第2回メフィスト賞を『コズミック』で受賞しています。その後、シリーズ化し大ヒットを飛ばしています。

清涼院流水。完全に人をおちょくったようなペンネームです。清涼飲料水から取られています。この人を小馬鹿にしたような小説家はとてつもないミステリーの書き手です。ミステリーを壊したと表現したのは西尾維新だったでしょうか。

作風は本格的な推理小説とは一線を画します。探偵が綿密な論理を積み立てて犯人を追い詰める小説が好きな人にはおすすめできません。清涼院流水は自ら「大説家」と名乗るように、ミステリーの枠に収まらない、ミステリー自体を破壊するような作家です。

第1回メフィスト賞を受賞した森博嗣より、キャラクター性を強烈におすすめています。清涼院の小説にはJOCと呼ばれる探偵集団が存在します。そのJOCに属する独特のキャラクタたちが快刀乱麻の推理を行うのです。

JOCに属する探偵たちは様々な特殊能力を持っています。主人公の九十九十九は、メタ推理と呼ばれる推理を行います。犯人特定に必要な材料が揃うと自動的に瞬時に謎が解けるという能力です。故に九十九十九は捜査をしたりしません。まるで、清涼院流水の推理小説を読んで謎を解き明かすような探偵です。

彼のもう1つの特徴とし作中の言葉遊びです。作中や作中作(彼の小説によく登場する小説内の登場人物によって書かれた小説)には、数えれば切りのないほどアナグラムや掛詞が使用されます。その作中作の言葉遊びをヒントにして九十九十九は推理を行います。一つ一つの言葉が考え抜かれた伏線になっています。

普通のミステリーには少し飽きたという方にはもってこいの作家です。

おすすめ作品

コズミック

少し気になると思った方は第1回メフィスト賞受作『コズミック』を手にとってみましょう。

「今年、1200個の密室で1200人が殺される。誰にも止めることはできない」 ― 密室卿

 こんな刺激的な挑戦状から始まるミステリーです。ぜひ読んでみてください。

『コズミック』についての書評はこちら↓

www.koto-yumin.com

 ジョーカー

時系列的にはデビュー作のコズミックより前の話です。推理小説作家たちが集まった館で起こるのは…当然殺人事件です。

作中の登場人物である濁暑院溜水がミステリマニアなら誰でも知っている『ノックスの十戒』と『ヴァン・ダインの二十則』=『推理小説の構成要素三十項』を網羅した実名小説作品を書き始めます。しかし、翌日、まるでその構想に則ったかのように殺人事件が起るのです。

それを解くのはやはり、九十九十九です…!

ジョーカー (講談社ノベルス)

ジョーカー (講談社ノベルス)