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書評 清涼院流水『コズミック 世紀末探偵神話』

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みんな大好き清涼院流水先生です。名前がシャレオツですね。かなり好きなミステリー作家です。でも最近新刊がでていないような。。。

清涼院流水って誰よ

清涼院流水についてはこちら→清涼院流水を圧倒的におすすめしていく

あらすじ(ネタバレ無し)

「今年、1200個の密室で1200人が殺される。誰にも止めることはできない」 ― 密室卿

こんな刺激的な殺人予告でこの物語が始まります。そして、予告どおりその年の1月1日から、1日に3、4人のペースで密室殺人が行われていきます。そして、その密室殺人はすべて完璧な密室なのです。

この密室卿に挑むのが、清涼院流水作品おなじみの名探偵たちです。彼らは普通の探偵小説の名探偵とは違います。普通に証拠を並べて推理するわけではありません。謎の特殊能力を持って推理します。

例えばこの小説の主人公とも言える探偵・九十九十九の能力は神通理気(じんつうりき)です。推理に必要な手掛かりが全てそろうと、一瞬にして真相を悟るという最強能力。

ちなみに僕が好きなのはピラミッド・水野です。超迷推理(メタめいすいり)という能力を持ちます。常に外れるという推理能力です。今までに一度も事件を解決したことがないという探偵です。しかし、必ず外れるので逆張りすれば必ず当たるという能力です。しかし、本人は本気で当てに行っているという探偵です。

そして最初から最後まで伏線満載、アナグラム満載です。伏線を次々と回収していくのはさすがの一言であり、ミステリーの枠に収まらないメタミステリー的超展開で。個人的には超絶オススメな作品です。

感想(ネタバレあり)

今回のトリックは、ミステリーファンであればほとんどの方が見破ることのできるほど単純なものではなかったかでしょうか。(もちろん清涼院流水はメタトリックな作風なので当然と言えば当然かもしれません)

作中の探偵たちもそうのように言っています。なにせありえないような密室殺人が起こるわけですから、当然考えられるのは実際には密室殺人は起きておらず、誰かが嘘をついているということになります。特に序盤の物語が作中作とわかってからは、1本道だったのではないでしょうか。

しかしながら、これだけ大掛かりな規模の集団が嘘をついている理由が不明で、いまいち確信がつかぬまま読みすすめていました。密室卿=密室教という掛け言葉に早めに気づいていれば、読み解くのは簡単だったかもしれません。

最終的に密室卿は九十九十九の言葉を信じれば、「S」こと「曹操」であると明言されました。作中で指摘されていましたが、曹操の頭文字は英語表記では「C」です。これは、冒頭の詩から卑弥呼、松尾芭蕉へと繋がる鮮やかな伏線回収と言えます。松尾芭蕉や卑弥呼といったところまでは、僕も読めていたところでしたが、曹操が出てくるとは思っても見ませんでした。

ところで本当に曹操=密室卿でしょうか。清涼院流水という作家がこうも簡単に答えを提示するでしょうか。僕はそう考えずにはいられませんでした。

わしは殺してもらえなかったのじゃ──作者にな。作者がわしを必要としなくなれば、自ずと命は尽きるのじゃが、わしにはしなければならぬことがあった。三〇〇年間ずっと、一九九四年のためだけに生きてきた。──長かったぞ。それこそ、永遠に近い時間じゃ。それでも、氷神仙才が生きた時間の半分にも満たないのじゃがな……」
「作者……それは、密室卿のことですか?」

と作中にあるように、作者=密室卿であることが暗示されています。作者とは誰か。それは清涼院流水において他ありません。ここで清涼院流水のイニシャルは日本語読みだと「S」です。では英語読みだと...? 清涼=Coolではないでしょうか。そうイニシャルは「C」です。

これは深読みかな...