佐渡島庸平 『ぼくらの仮説が世界をつくる』を読んだので、感想、書評かきました。
おすすめ度
おすすめ度:★★★★☆
編集者になりたいと思っている人や、出版業界に興味がある人は読んで損はしないと思います。佐渡島庸平さんの考え方をわかりやすく伝えています。
就活で悩んでいる大学生にも読んでほしい本です。
作者・作品紹介
著者の佐渡島庸平は元講談社の編集者であり、株式会社コルクの代表取締役です。佐渡島は「宇宙兄弟」や「ドラゴン桜」などヒット作を多数生み出しています。
彼は2012年に講談社を退社し、作家エージェント会社、コルクを立ち上げました。そんな佐渡島が書いたのが本作です。本書では、以下の点が語られます。
- 株式会社コルクの概要
- 今後の作家と読者のあり方
- コンテンツ産業の未来
- 仕事への向き合い方
- 世界を変えるために
気鋭の編集者、企業家、佐渡島庸平が一流の作家や漫画家と接しながら何を考え、何をしようとしているのか。彼の仕事に対する、人生に対する情熱を感じられる作品です
感想
今後の出版について
名前はチラホラと聞いたことがあったのですが、話を聞いたりしたことはなく、本書で始めてどんな人かを知りました。
知ってみると、佐渡島氏が編集した本や漫画を結構な確率で僕も読んでいる なあと思いました。
おそらく、僕の学生時代と佐渡島氏の講談社時代が被っているからでしょう。
佐渡島はコルクという会社を起業しています。エージェントという形態で作家を売り出そうという会社です。
日本の出版業界は、出版社が特権的に作品と読者を繋げています。
そのルールを超えて佐渡島は作家と読者を直接結びつけようとしています。
この動きに僕は非常に共感します。最強のコンテンツは人です。これはあらゆるデータから立証可能な事実だと思います。
Googleで検索されているワードの上位を見ればすぐわかると思います。
ほとんどが人に関することです。YouTubeやニコニコ動画の配信を見ても、ゲーム自体ではなく、ゲームを消費する配信者を見ていますよね。
小説や漫画についても同じことが言えます。漫画や小説の売上のほとんどは、少数のコアなファンによって支えられています。コアなファンというのは、例えばある作家の新刊が出たら必ず買うようなファンです。
つまり、ファンは作品を消費するのではなく、作家というコンテンツを消費するために作品を買っているのです。それが最も顕著なのが村上春樹でしょう。村上は日本で一番売れている作家です。
では、村上の作品を買っている読者はどんな人たちでしょうか。おそらく普段から純文学作品を読まない人が大半ではないでしょうか。
彼らは面白いから買うのではなく、村上の小説だから買うのです。世界的小説家だからこそ、ミステリアスな小説家だからこそ、村上というコンテンツを消費するために読者は買っているのです。
佐渡島庸平の生き方
本書には、佐渡島庸平という人物がどのように仕事に向き合っているかも1つのテーマになっています。
ハッキリ言ってすげーかっこいいです。こんな風に情熱を持って仕事に向き合える人ってなかなか周りにはいません。「世界を変えたい」って真面目に言える人って、どれくらいいるでしょうか。
本書を読んで、僕は佐渡島庸平という人がすごく好きになりました。こういう人と働くと楽しんそうだな、だからこそ彼の周りには色々と助けてくれる作家や漫画家がいるのだろうと感じました。
出版や仕事という枠を超えて、生き方というのを見つめ直すことのできる作品でした。人生でなにか1つでも「熱狂」できることがあれば、それは幸せかもしれません。
1枚目のドミノ、それは、「たった1人の熱狂」です。
『ぼくらの仮説が世界をつくる』