森見登美彦の『熱帯』を紹介します。森見登美彦といえば、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』等でくされ大学生を描くことに定評のある作家です。最近では『ペンギン・ハイウェイ』が映画化され話題になりました。今回は、そんな森見登美彦の最新作『熱帯』のあらすじを紹介します。読もうかどうか迷っている人は是非参考にしてみてください。
おすすめ度
おすすめ度:4.0(5点満点)
僕は学生時代から森見作品のファンでして、文庫化されている小説はほとんど読んでいると思います。今作『熱帯』は森見ワールドは若干控えめでありつつ、森見登美彦の新たな方向性を感じました。森見ファンにとってはとても新鮮な内容だったのではないでしょうか。
一方、初めて森見作品を読む人にはあまりおすすめはできないように思います。面白いのは確かですが、とにかく長いですし、メタ小説となっているので慣れていないと混乱してしまうでしょう。もちろんそういうのが好物な人(僕)みたいな人にはオススメの作品です。僕はもう最初から興奮しっぱなしでした。
森見作品がはじめての方であれば、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』あたりを先に読むことをおすすめします。森見作品を読んだことがあり、割と気に入っているのであれば、読んで見るべき作品だと思います。

- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/25
- メディア: 文庫
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あらすじ紹介
『熱帯』は摩訶不思議な森見先生の作品の中でも一つばかり頭が抜けて不思議な作品です。森見登美彦といえば、くされ大学生から化け狸、天狗からペンギン、そしておっぱいまで、ありとあらゆる魅惑的なものを題材として選んできました。
そんな彼が今回題材として選んだのが「物語」それ自体です。今回の主人公は『熱帯』という小説そのものであると言っても過言ではありません。その小説は誰も読み通した人いないと言われる幻の小説です。
本作の冒頭では作者である森見登美彦氏が登場し、幻の小説『熱帯』について語る場面から始まります。森見は学生時代に『熱帯』を手に入れたが、読んでいる途中で失くしてしまい読了できなかったと言います。それ以降、あらゆる方法で『熱帯』を探したが、ついに見つけることができなかったのです。
そんなあるとき森見登美彦は「沈黙読書会」という謎の同好会に参加することになります。同好会では、各メンバーが本にまつわる謎を持ち寄って話し合いが行われているのだと言います。森見は、ある女性が抱えてる本に気が付きます。そう、長年追い求めていた『熱帯』です。そして、女性は語り始めます。
『熱帯』がなぜ幻の小説となったのか。どうして誰も読み終えることができないのか。そしてどのようにして『熱帯』が誕生したのか。物語は現実と非現実を行き来しながらその謎に迫っていきます。
読み終わったあと、読者は必ず1ページ目から読み直すことになることでしょう。