つくばメディアアートフェスティバル2018に行ってきた

最近、何かと話題の落合陽一の研究室からも出展作品があるつくばメディアアートフェスティバル2018に行ってきました。入場料無料なので是非行ってみてください。

メディアアートって何よ

メディアアートとはかなりザックリ言えば、新しいメディア技術(映像、3D、VR)を取り入れた芸術作品のことです。

絵画などの既存の芸術どは違い、インタラクティブ(鑑賞者との相互作用がある)な作品が多いです。また、見た目的にも面白いので芸術に詳しくない私みたいな人でも楽しめます。

どんな作品があったか

半分くらいが体験型のメディアアートでした。光を調節することでゲームができたり、シューティングゲームができたりと子供が好きそうなアートが多いという印象でした(つくばという土地柄かもしれません)。

落合陽一の研究室の展示は、3Dプリンタで作品の中に自動駆動する仕組みが取り入れらているオブジェクトを作成した、というものでした。動きが小さくて分かりづらいのが難点です。

オススメ作品『あなたとなかよくなりたい」』

個人的に1番グッと来たのがこちらの作品。

堀内菜穂さんの「あなたとなかよくなりたい」です。

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 写真が粗すぎてよくわかりませんが、円形に囲まれた場所にうさぎと思われる不気味なぬいぐるみが動き回っている作品です。見た瞬間私はぎょっとしました。そして明らかに不気味で近寄りがたい雰囲気を感じました。柵の中には子どもが描いたような絵が描かれています。

そして柵の外には「作品に触れないでください」の文字があります。この作品は我々を拒絶するような空間を造りだしています。「あなたとなかよくなりい」という作品名と矛盾した感情を鑑賞者は受けることになります。

しかし、立ち止まって考えてみましょう。どうして私はこの作品から不気味で近寄りがたい印象受けるのでしょうか。それはひとえに、動き回るぬいぐるみの見た目の不気味さからくるのです。もっと可愛らしいテディベアみたいなぬいぐるみだったらそんな思いにはならないはずです。

そこには、人が無意識のうちに感じてしまう差別的な感情を見つけることができます。普通とは違う、異質なものへの反射としての差別感情をこの作品を呼び起こします。そしてそうした異質なものを柵に囲って管理しているのです。

この作品で思い起こされるのは、例えば特別支援学級です。特別支援学級に通う子どもたちは特別支援学級の中では非常に活発に遊んだりしています。いわゆる普通の子供たちのように。

しかし外から見ると(特別支援学級の内情を知らない人から見ると)、そこはまるでこの作品の柵の中で遊んでいる不気味なぬいぐるみのように見てしまっているのではないでしょうか。自分たちとは違う、よくわからない、近づきがたい、というように。

でも特別支援学級の子どもたちも他の子供たち同様に、「あなたとなかよくなりたい」と思っているはずなのです。そこに柵を立て、この作品を排他的にしているのは、作者でもぬいぐるみでもなく、私自身の差別的な感情なのです。

そういった私の中に眠る差別的な感情を否応なくむき出しにしてしまうのが、この作品の凄さです。

女の子登場

そんなことを思いながら突っ立っている私の目の前に女の子が現れました。彼女は「作品に触れないでください」という注意書きを無視して柵の中に入ろうとしています。

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 そうです、この女の子にはそんな注意書きなんて関係ありませんし、柵も気にしません。普通と普通でないものの違いもありません。

子どもはそんなどうでもいいことは気にしません。気にするのは大人たちだけです。

子どもたちは、なかよくなれるのです。